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腐女子が叫ばずにはいられなかった萌(腐注意)を綴る掃き溜め的不定期ブログ。自分の萌はマイナーな気がする今日この頃。ボカロ多め。たまにオリキャラ出没します。
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お久しぶりですエミール騎士団長!
やっと兄上に癒しタイムが……来る、のか?


 人気が絶えることのない王宮の、しかし一番静かな夜の時間。燭台の灯された廊下にはいつになく緊迫した面持ちの騎士団長の姿があった。
(意外と、早かったな)
 頭の中で、友人の中にあるいくつかの答えを反芻する。巡回から帰ってきた部下に伝言を伝えられ、エミールは王宮のある一室に向かっていた。
 その先は、恐れ多くも元第一王子殿の寝室―――養子縁組の話をまとめている最中で、まだ彼は王宮の私室で寝泊まりしている。おかしな話だ。王籍を抜け一臣下になるとあれだけ言いながら、彼は王宮に住み、次期国王の仕事を肩代わりしている。他の重臣たちも、その行動をどう――王の補佐役か、傀儡の操り手か――扱っていいのかわからずに、自分に火の粉がかからないうちは口を出すまいと二の足を踏んでいた。
 おそらく、自分はその真意を初めて聞く者になるのだろう。そう予感し、エミールは無個性な扉を叩いた。
「僕の嫌いな色は?」
「白」
「正解」
 鍵が開く音が響き、部屋に招かれる。するりと入り込むと、エミールは慣れた動作で開いたばかりの内鍵を閉めた。
「リヴィウス―――話があると、」
 常になく性急な友人に、リヴィウスはくすりと笑う。昔から余裕を崩さない男をここまで焦らせるのは小気味良かった。しかしこちらとは裏腹に、真剣な顔つきを崩さない相手を見て、笑いを収める。せめてもの詫びに、単刀直入に結論を―――友にとっての朗報を告げた。
「君たちに協力する」
 それが、答え。そうなるだろうとはお互いにわかっていたが、イレギュラーをいくつか加えたために、エミールには余計な心配をかけてしまった。
「それも積極的にね。どうだい?君にとっては一番望ましい選択だよ」
 選んだ道筋の重さを薄めるように、ことさら軽い口調で言ってやる。寝台に腰掛け、伏せられた顔を下から見上げると、『選ばせた』側である友人は、沈んだ目をしていた。
「……いいのか」
「ああ、もう決めた」
 感情を読み取らせない微笑を浮かべ、リヴィウスは即答する。
 しかしその即答は、迷うことから、考えることから逃げているだけのように見えた。愚かな友人の選択を、しかしエミールは否定しない。目的のためなら、彼は友情すら犠牲にする覚悟を決めていた。それをリヴィウスも知っている。
 だから、これは、そういう選択なのだ。
 たとえ途中で苦しむことになっても、気にしなくていい。エミールの目的は、その過程でリヴィウスの願いを少なくとも一つ、叶えるのだから。――そういう、ことだ。
「アズハルトのことは、もういいんだな」
 念を押すように、エミールはその名前をあえてはっきりと口にする。案の定、リヴィウスは笑みを強張らせた。
「お前が弟をどう思おうと構わん。だが、協力すると言ったからには俺の指示に従ってもらう―――いいか?」
 陰る友の顔を冷徹に見下ろし、エミールは最終通告を突きつける。
「俺はもう、止めないぞ」
 それでも、
 それでも―――
 リヴィウスは、ゆっくりと頷いた。
「……ならば、聞いていいか」
 赤味の強い茶の瞳をすがめ、エミールは彼を見下ろす。問いかけというには答えを強制する威圧に、リヴィウスはたじろきもせず不思議そうに目線を上げた。
「どうしてあんなことをした」
 エミールは手を伸ばし、短くなった銀髪を梳くように触れる。首筋に纏わりつく不揃いの銀糸は、王籍を抜け、『次期国王』の臣下になることを示した証。友の仕草で言わんとしていることを理解し、リヴィウスはくつくつと―――そして高らかに笑い出した。
「何を今更!……僕は、ずっとしてやりたいと思っていたことをしただけさ」
 はしゃいだ子供のように叫び、笑う顔を眺めてエミールは思い出す。
 ああそうだ、こいつはいつも冷静な顔をしているが、理性が切れた時、何をするかわからないのだった。さながらそのさまは、猫を噛む窮鼠。『猫』に追い詰められれば、彼はどうにでも転んでしまう。長年の付き合いになるが、その転ぶ先をエミールが予想できたためしはなかった。
 少し、見誤ったか。友にとっての『猫』に気づけなかった自分の不明を後悔する。
 最近は柄にもなく、己の計画を進めるので精一杯だった。
「それで、気は晴れたか?」
「……さあ」
 哄笑が収まり、少し不機嫌さが滲む無表情に変わっていくのを見つめる。笑みを繕う余力もないようでは、もうこれ以上の追求は無意味だろう。……想像以上に、友の精神は消耗しているようだ。
「じゃあ一つ言おう」
 その声のわざとらしい重々しさに、リヴィウスは緩く顔を上げる。呆けた面に喝を入れんと、隙だらけのその頭を小突いてやった。
「馬鹿が。動きにくくなっただろう」
 ため息混じりに吐き出した言葉は、突発的に王宮を引っ掻き回したリヴィウスにとって、当然の責めである。しかしその口調は、友人として話す時のように気軽なものだった。
「あはは、ごめんね」
 ちぐはぐな態度に、思わずリヴィウスは苦笑する。気を遣わせてしまったことに罪悪感を覚えながらも、裏腹に軽薄な謝罪を返した。
 それを見て、エミールは内心胸を撫で下ろす。
 偽れるうちはまだ大丈夫だ。まだ――この舞台で踊れる。
(さて……これで役者は揃った)
 もう逃がしてやることはしない。もともとその気もない。
 この舞台の幕を引くとき、傍らに居るのはこの友であるとあの時に決めたのだから。
(それが、お前にとっては苦痛でも――お前はそれでいいと、言ったんだ)
 情と理性の入り混じった言い訳を胸中で吐き、エミールは性質の悪い笑みを浮かべる。

 そして彼は、無二の友に最初の命令を下した。


+++++++++++++++++++++++++++++++++
お久しぶりのエミールさんです。どろどろしてますね。リヴィウスが。
唯一の親友で心許せる相手なのでナカミがちょいと出てます。黒い何かが。
この二人は純粋に親友なんですが……下手にBL書くより親友同士を書くほうが甘甘らぶらぶなのはどうしてでしょう。そして、エミールがなんでこんな根暗をこんなに買っているかというと…まあ後ほどわかります。
それとですね、「役者が揃った」とかエミールが言ってますが登場人物はあと少し増えます。彼にとっての駒が揃っただけなのです。
なんかぐだぐだと補足説明の多い話ですみません…!次はアズのターンですよ☆がんばります…

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